
レストラン
クィンテ
Quinte
知り合ったイタリアにお邪魔するレストラン。
Quintoで出会った食材やワインの、その先へ。
料理として皿の上に現れることで、 ひとつひとつの食材は土地の風景や季節の記憶をまとい始めます。
三河湾の魚介。
愛知の野菜や肉。
イタリア各地から届くチーズやワイン。
その時々の旬と向き合いながら、シェフが自由な発想で組み立てる料理は、決まった正解をなぞるのではなく、その日の素材がもっとも輝く形を探したものです。
Quinteとは、イタリア語で「舞台袖」。
客席と厨房の距離は近く、料理が生まれる音や香り、シェフたちの手仕事までもが食事の一部になります。
まるで舞台袖から物語を覗き込むように、一皿が完成していく瞬間を間近で楽しむことができます。
海を旅するような一皿。
大地の力強さを味わう一皿。
あるいは、その日の気分に導かれるままの寄り道。
グラスの中のワインとともに、遠かった土地の風景が少しずつ輪郭を持ち始めます。
知ることと味わうこと。
日常と旅。
市場とレストラン。
そのあいだを行き来しながら、知り合ったイタリアにそっとお邪魔する。
Quinteは、そんな時間のためのレストランです。

価格はすべて
税・サービス料別
Menù di stasera
Dinner "Estate"
¥7,500
税・サ別
暦の上では、もう秋。
昼間の名古屋には、まだ夏の名残があるけれど、夜になれば、どこからともなく秋の虫の声。
季節は、宣言するように変わるのではなく、いつの間にか、少しずつ席を替えているようです。
今夜の食卓も、そんな季節の境目から。
三河湾の魚介はまだ夏の海の顔をしていて、無花果は甘く、桃は冷たく、秋の気配は、ポルチーニの香りに少しだけ先回りしてもらいました。
愛知を出発して、シチリアへ、サルディーニャへ、プーリアへ。そしてまた、愛知へ。
イタリア料理を食べる夜ですが、パスポートは必要ありません。
今夜は「夏」という名前の、少し秋めいた食卓です。

Antipasto
最初に届くのは、三河湾の海。
炙った魚介の香ばしさに、イワシ魚醤を忍ばせた海のコンソメジュレ。その下には、カリフラワーのムースを。
魚卵を散らすと、まるで小さな宝石箱です。
夏の海を冷たく閉じ込めたつもりですが、蓋を開ければ、魚たちはしっかり泳いでいます。
次は、少し甘い寄り道を。
キャラメリゼした愛知県産の無花果に、イタリアのブッラータと水牛のリコッタ。
凍らせた桃を削り、スロベニア産生ハムを添えました。
甘い、塩辛い、冷たい、濃厚。一見すると意見の合わなそうな面々ですが、食卓では、なぜか話がまとまります。
Pane
2種類のフォカッチャと、香ばしく焼き上げたグリッシーニ。
料理を待つ時間も、旅のうち。
ただし、パンを食べすぎると後半の旅程に支障が出ます。そのあたりは、自己責任でお願いします。
Primo Piatto
7種類の中から一品お選びください
三河湾から、渡り蟹。
殻を潰し、香味野菜とともにじっくり煮込んで、蟹の旨味を丸ごとソースにしました。
蟹は、食べるところが少ないと言われます。
しかし、それは少し違います。食べるところが少ないからこそ、出汁になるところが多い。
そんな三河湾の蟹を、イタリア料理に。
あさりとハマグリ。
三河湾の二枚貝の旨味に、淡路島産玉ねぎのソフリットを重ねました。
「ピエトラサンタ」は、イタリア語で聖なる石。
白いソースとパスタの景色を、トスカーナの大理石に見立てています。
海のものなのに、名前は石。イタリア料理は、ときどき話をややこしくします。
奥三河の天狗茄子が、シチリアへ。
グアンチャーレの旨味を効かせたトマトソースに、大きく育った茄子の濃厚な味わいを合わせました。
シチリアの伝統料理「ノルマ」には、土地の太陽を思わせるような、素朴で力強い美味しさがあります。
奥三河にも、ちゃんと太陽はあります。
羊乳のペコリーノ・ロマーノに、黒胡椒。
そこへサフランを加えました。
シンプルな料理ほど、隠し事ができません。
チーズ、胡椒、サフラン、パスタ。
あとは料理人の腕と、食べる人の機嫌にお任せします。
黒いキタッラに、三河産の紋甲イカ、あさり、小エビ。
鰻の骨からとった出汁を重ね、仕上げにはサルディーニャのからすみを。
三河湾とサルディーニャ。海はずいぶん離れていますが、魚の美味しさについて話せば、案外すぐに仲良くなれます。
水牛のリコッタを包んだ、小さな詰め物パスタ。
その上から、愛知・鳳来牛のすね肉をじっくり煮込んだラグーを。
軽やかなチーズと、時間をかけた牛肉。
若者と熟年。世代は違いますが、食卓ではよく話が合います。
ここで、秋が少し早めに到着します。
ポルチーニ茸のブロードと魚介のブロード。山と海、二つの旨味を米に吸わせました。
香ばしく焼いたスカンピ海老を添えて。
「マーレ・エ・モンテ」。海と山。
夏の終わりに、秋がひと足先に席につきました。
Secondo Piatto
3種類の中から一品お選びください
三河湾の今日の魚を、2色のズッキーニで包みました。
香ばしく焼いた魚を魚介とともに軽く蒸し、フレッシュトマトと、プーリアのサルモリッリオソースを。
魚にとっては、少しばかり着飾った一皿です。
三河赤鶏の中に、三河姫豚の自家製サルシッチャと鴨のフォアグラ。
巻いて、焼いて、マルサラワインのソースを。
さらにフォアグラをもう一度。
ここまで来ると、「ちょっと贅沢」ではなく、かなり正直に贅沢です。
知多牛・響のランイチを炭火で。
野菜にも炭をまとわせ、赤ワインと黒胡椒のソースを合わせました。
炭は、食材を黒くするだけではありません。
火の記憶を、料理に残します。
夏の終わりの夜。少し煙の匂いがするくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
Dolce
4種類のチーズケーキを、ひとつの小さなキューブに。
マンゴーをベースに、紅茶とジャスミンを合わせたソースは、まだ夏を手放したくない向日葵のような色。
季節は秋へ向かっていますが、デザートには、もう少し夏にいてもらいましょう。
ティラミスが、青くなりました。
スピルリナとノンアルコールのブルーキュラソーで、夏の夜を思わせる青を描いています。
なぜ青なのか。
理由はあります。
ただ、デザートにまで理屈を求めるのは、少し野暮かもしれません。
Caffè
エスプレッソ、コーヒー、紅茶、ハーブティーよりお選びください。
長い旅の最後に、ひと休み。
Piccola pasticceria
最後は、蒲郡産みかんピールを包んだチョコレート。
ストレガのハーブの香りを忍ばせています。
旅は終わります。
外へ出れば、秋の虫が鳴いているかもしれません。
今夜の「Estate」は、ここまで。
また季節が、次の席へ移る頃に。