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2026年9月のメニュー

TARDA ESTATE晩夏

2026年9月に提供していたメニューです。価格・内容は当時のものです。

Menù di stasera

Dinner "TARDA ESTATE(晩夏)"

9月限定

¥7,500

税・サ別

晩夏のディナーコース

暦の上では、もう秋。

昼間の名古屋には、まだ名残の夏があります。

夜風には、秋の虫が鳴き始めました。そんな季節のあわいから、今夜の食卓は始まります。

三河湾には、まだ夏の力強い魚介。無花果も桃も、もう少しだけ夏の顔をしています。

その一方で、海を越えて届くポルチーニが、ひと足先に秋の気配を運んできてくれます。

三河湾からトスカーナ、シチリア、サルディーニャ、プーリアへ。海を渡って、また愛知へ戻ってくるコースです。

イタリア料理を食べる夜ですが、パスポートは必要ありません。

季節がきれいに入れ替わる、その少し手前。「晩夏」という名前の食卓です。

Dinner「TARDA ESTATE」のコース全体。前菜、パン、パスタ、魚料理、ドルチェ、小菓子と赤ワイン

Antipasto

最初に届くのは、三河湾の海。

炙った魚介の香ばしさに、イワシ魚醤を忍ばせた海のコンソメジュレ。その下には、カリフラワーのムースを。

魚卵を散らすと、まるで小さな宝石箱です。

夏の海を冷たく閉じ込めたつもりですが、蓋を開ければ、魚たちはしっかり泳いでいます。

次は、少し甘い寄り道を。

キャラメリゼした愛知県産の無花果に、イタリアのブッラータと水牛のリコッタ。

凍らせた桃を削り、スロベニア産生ハムを添えました。

甘い、塩辛い、冷たい、濃厚。一見すると意見の合わなそうな面々ですが、食卓では、なぜか話がまとまります。

Pane

2種類のフォカッチャと、香ばしく焼き上げたグリッシーニ。

料理を待つ時間も、旅のうち。

ただし、パンを食べすぎると後半の旅程に支障が出ます。そのあたりは、自己責任でお願いします。

Primo Piatto

7種類の中から一品お選びください

三河湾から、渡り蟹。

殻を潰し、香味野菜とともにじっくり煮込んで、蟹の旨味を丸ごとソースにしました。

蟹は、食べるところが少ないと言われます。

しかし、それは少し違います。食べるところが少ないからこそ、出汁になるところが多い。

そんな三河湾の蟹を、イタリア料理に。

本場のボンゴレは、貝が抱えていた海のエキスを、オリーブオイルとパスタの力で乳化させ、麺にまとわせて食べる料理です。

矢作川の清流と豊かな干潟が育てた、三河湾のあさり。潮の満ち引きを耐え抜いた貝は、キレのある骨太な海の旨味を蓄えています。

その貝汁を迎え撃つのは、愛知県産の鰻の骨から引いた出汁。香ばしくローストした骨を玉ねぎと2時間、静かに。川魚のコクと、乳化を支えるゼラチン質が溶け込んでいます。

そこへ、じっくり火を入れた玉ねぎのソフリットを。あさりの鋭い塩気の角を、穏やかな甘みで包み込みます。

この濃密なソースを受け止めるのは、マルケ州のパスタ「マンチーニ」。自社栽培デュラム小麦の香りと、ブロンズダイス特有のざらりとした麺肌が、重層的なソースを絡め取ります。

ピエトラサンタは、白大理石を抱くトスカーナの彫刻の町。そして、シェフがかつて修業した店の名前でもあります。料理の名前というのは、ときどき履歴書よりよく喋ります。

奥三河の天狗茄子が、シチリアへ。

グアンチャーレの旨味を効かせたトマトソースに、大きく育った茄子の濃厚な味わいを合わせました。

シチリアの伝統料理「ノルマ」には、土地の太陽を思わせるような、素朴で力強い美味しさがあります。

奥三河にも、ちゃんと太陽はあります。

羊乳のペコリーノ・ロマーノに、黒胡椒。

そこへサフランを加えました。

シンプルな料理ほど、隠し事ができません。

チーズ、胡椒、サフラン、パスタ。

あとは料理人の腕と、食べる人の機嫌にお任せします。

黒いキタッラに、三河産の紋甲イカ、あさり、小エビ。

鰻の骨からとった出汁を重ね、仕上げにはサルディーニャのからすみを。

三河湾とサルディーニャ。海はずいぶん離れていますが、魚の美味しさについて話せば、案外すぐに仲良くなれます。

水牛のリコッタを包んだ、小さな詰め物パスタ。

その上から、愛知・鳳来牛のすね肉をじっくり煮込んだラグーを。

軽やかなチーズと、時間をかけた牛肉。

若者と熟年。世代は違いますが、食卓ではよく話が合います。

ここで、秋が少し早めに到着します。

ポルチーニ茸のブロードと魚介のブロード。山と海、二つの旨味を米に吸わせました。

香ばしく焼いたスカンピ海老を添えて。

「マーレ・エ・モンテ」。海と山。

夏の終わりに、秋がひと足先に席につきました。

Secondo Piatto

3種類の中から一品お選びください

三河湾の今日の魚を、2色のズッキーニで包みました。

香ばしく焼いた魚を魚介とともに軽く蒸し、フレッシュトマトと、プーリアのサルモリッリオソースを。

魚にとっては、少しばかり着飾った一皿です。

三河赤鶏の中に、三河姫豚の自家製サルシッチャと鴨のフォアグラ。

巻いて、焼いて、マルサラワインのソースを。

さらにフォアグラをもう一度。

ここまで来ると、「ちょっと贅沢」ではなく、かなり正直に贅沢です。

知多牛・響のランイチを炭火で。

野菜にも炭をまとわせ、赤ワインと黒胡椒のソースを合わせました。

炭は、食材を黒くするだけではありません。

火の記憶を、料理に残します。

夏の終わりの夜。少し煙の匂いがするくらいが、ちょうどいいのかもしれません。

Dolce

4種類のチーズケーキを、ひとつの小さなキューブに。

マンゴーをベースに、紅茶とジャスミンを合わせたソースは、まだ夏を手放したくない向日葵のような色。

季節は秋へ向かっていますが、デザートには、もう少し夏にいてもらいましょう。

ティラミスが、青くなりました。

スピルリナとノンアルコールのブルーキュラソーで、夏の夜を思わせる青を描いています。

なぜ青なのか。

理由はあります。

ただ、デザートにまで理屈を求めるのは、少し野暮かもしれません。

Caffè

エスプレッソ、コーヒー、紅茶、ハーブティーよりお選びください。

長い旅の最後に、ひと休み。

Piccola pasticceria

最後は、蒲郡産みかんピールを包んだチョコレート。

ストレガのハーブの香りを忍ばせています。

旅は終わります。

外へ出れば、秋の虫が鳴いているかもしれません。

今夜の「TARDA ESTATE」は、ここまで。

10月には、また次の季節へ。