9月のコース「TARDA ESTATE(晩夏)」と、ピエトロサンタ

8月25日から始めたプレオープンを経て、9月15日、QQは正式オープンを迎えます。
9月のディナーコースは、「TARDA ESTATE(晩夏)」。 暦の上では秋ですが、昼間の名古屋にはまだ名残の夏があります。 夜風には秋の虫が鳴き始める、そんな季節のあわい。
三河湾からトスカーナ、シチリア、サルディーニャ、プーリアへ海を渡り、また愛知へ戻ってくるコースです。
三河湾には、まだ夏の力強い魚介がいます。 無花果や桃も、もう少しだけ夏の顔。 その一方で、海を越えて届くポルチーニが、ひと足先に秋の気配を運んできてくれます。
季節がきれいに入れ替わる、その少し手前。 9月限定の「TARDA ESTATE(晩夏)」です。
その中から、パスタを一品ご紹介させてください。
三河湾のあさりのボンゴレビアンコ 「Pietrasanta(ピエトロサンタ)」
本場イタリアのボンゴレは、貝が抱えていた海のエキスを、オリーブオイルとパスタの力で乳化させ、麺にまとわせて食べる料理です。 だからこそ、あさりの旨味をどう支え、どう響かせるかに料理の骨格が現れます。
矢作川の清流と豊かな干潟が育てた、三河湾のあさり。 潮の満ち引きを耐え抜いたあさりは、キレのある骨太な海の旨味をたっぷりと蓄えています。
その力強い貝汁を迎え撃つのは、愛知県産の鰻の骨から引いた出汁です。 オーブンで香ばしくローストした骨を、玉ねぎと共に弱火で静かに2時間。 ゆっくりと加熱して丁寧に濾したスープには、川魚の滋味深いコクと、ソースの乳化を支える上質なゼラチン質が溶け込んでいます。
そこへ合わせる、じっくり火を入れた玉ねぎのソフリット。 あさりの鋭い塩気やミネラルの角を、玉ねぎの穏やかな甘みと鰻の骨のまろやかなコクで優しく包み込み、ソースにとろりとした一体感を与えます。
この濃密なエマルションを余すことなく抱きとめるのは、イタリア・マルケ州のパスタ「マンチーニ」。 自社栽培のデュラム小麦が放つ豊かな香りと、ブロンズダイス特有のざらりとした麺肌が、重層的なソースを絡め取ります。
そして、Pietrasanta(ピエトロサンタ)。 トスカーナの山肌に白大理石を抱き、かつてミケランジェロも通った彫刻の町です。 乳白色に艶めくソースを纏ったパスタの上に並ぶあさりの貝殻を眺めると、そこには自然が彫り出したようなマーブル模様があります。
実はPietrasantaは、シェフがかつて修業した店の名前でもあります。 料理の名前というのは、ときどき履歴書よりよく喋ります。
9月15日、正式オープン。 「TARDA ESTATE(晩夏)」は9月限定のコースです。 10月には、また次の季節へ。
Quinte|舞台袖の特等席より